目次
- 呼称
- 歴史
- 概要
-
形状
つま先
ワイズ(足囲)
足袋型(足袋スパイク) -
素材
天然皮革
人工皮革・合成皮革
ヌバック
メッシュ -
カット(履き口)
ローカット
ミドルカット
ハイカット -
ソール
金具スパイク
ポイントスパイク(ブロックソール)
ハイブリッドソール -
甲止め
紐式
ベルト式
交互ベルト式 -
ベロ
立ちベロ(プロテクトベロ)
折りベロ(折り返しベロ)
呼称
スパイク
歴史
日本の野球スパイクの歴史は、1910年にさかのぼる。当初のスパイクは、歯はなく全体を革で覆われブーツ形状で作られていたが、1940年ごろに、靴底に金具の歯が取り付けられるようになりスパイクは大きな進化を遂げた。特に1936年のプロ野球の発足以降、金具スパイクはプロ野球選手の間で人気を博し、以降の数十年にわたりそのデザインや機能が改善されてきた。1970年代には、幅広タイプの金具スパイクが市場に登場し、選手のニーズに応じたカスタマイズが可能となった。2000年代に入り、樹脂でのスパイクの製造が始まった。また、少年野球(学童野球)では、選手の安全面からポイントスパイクの使用が義務付けられている。これは2026年現在も継続されているルールになっている。
概要
スパイクは、グリップ力や安定性を向上させるための重要なフットウェアとして広く用いられている。
黒スパイク
高校野球のルールとしても根強い、黒一色のスタイル。白色のスパイクを使用できるまで、高校野球では長年「黒一色」のスパイクのみの使用が許可されていた。
白スパイク
暑さ対策もあり、2020年3月に白スパイクが解禁された。白色は黒色よりも温度が下がるとの検証もされており、実際に10度も温度が下がっていた。甲子園で多くの強豪校が白スパイクに移行していることも相まって、今では白スパイクが主流になりつつある。
形状
つま先
基本的に野球用のスパイクは、つま先部分細くなった形状をしている。
ワイズ(足囲)
スパイクを選ぶ際に、足長(いわゆる足のサイズ)の他に、 ワイズ(ウィズとも言う)も重要で、足の幅が広い選手はワイドタイプのスパイクを選ぶ。ワイドタイプとは、ワイズを広めに設計したモデルを指す。日本人は前足部が広い足型の選手が多く、標準幅だと小指側が当たりやすい。そのため、甲高・幅広の選手や成長期の学生に特に向いている。一方で、フィット感が緩くなりすぎると横ブレや力伝達のロスが起きやすいため、細身の足には不向きである。一般的に2Eをレギュラーラスト、4Eをワイドラストと表記されている。
足袋型(足袋スパイク)
つま先が親指とそれ以外で二股に分かれた構造で、日本の伝統的な足袋の形状をベースにしている。親指が独立しているため、母指球に力が入りやすく、踏ん張りや初動の素早さにつながる。通常のソックス(靴下)では履くことができないため、専用のソックス(足袋型ソックス・5本指ソックス)が必要。
メリット
- 親指独立構造のため、親指で地面を強く掴める
- 踏み込み時に母趾(ぼし)で力を伝えやすい
- 指が広がりやすく、自然な足指の使い方ができる
- 通常のスパイクより足裏感覚が鋭い
デメリット
- 慣れが必要で、親指が分かれる感覚に違和感を覚える選手も多い
- フィット感が合わないと逆に疲れやすい
- 対応メーカーが少ないため、一般的なスパイクより選択肢が限られる
素材
天然皮革
代表的な素材は カンガルーやカーフである。天然皮革は素材が高いため、スパイク自体の価格も高めになる。皮革が柔らかいため、足の形に馴染みやすく、優れたフィット感がある。水洗いができないため、汚れが付着した際の手入れが難しく、特に雨の日には使用が難しい。
人工皮革・合成皮革
エナメル素材のスパイクの主流である。人工皮革は耐久性が高く、長期間使用しても劣化しにくい。特に、スパイクの革が伸びることが少ないため、形状が維持されやすい。また、汚れが付着しても水洗いや拭き掃除が可能であり、メンテナンスが天然皮革に比べて簡単である。カラーやデザインの選択肢が多く、選手は自分の好みに合わせたスパイクを選ぶことができる。天然皮革に比べると、柔らかさやフィット感で劣ることがあるが、使用を重ねることで馴染むことが多い。
ヌバック
ヌバックは比較的軽量で柔らかく、足にフィットしやすいため、長時間の使用でも快適さが持続する。起毛素材であるヌバックは、見た目が高級感を醸し出すため、ファッション性を重視する選手にも好まれる。しかし、水洗いができず、専用のメンテナンス道具を使って手入れを行う必要がある。雨には弱く、濡れると劣化する可能性が高い。起毛素材であるため、色落ちや擦れによる破れの可能性があることも留意すべき点である。
メッシュ
メッシュ素材は非常に軽量で、選手の足に負担をかけず、動きやすさを向上させる。メッシュ部分は通気性が良く、汗をかいても蒸れにくい。しかし、水分を吸収しやすいため、雨の日には使用が難しい。また、メッシュは構造上、砂が入りやすく、グラウンドでのプレー中に不快感を生じることがある。擦れによる破れが生じやすいこともあり、長期間の使用には注意が必要である。
カット(履き口)
ローカット
ローカットスパイクは、くるぶしまでのデザインで、最も一般的なタイプである。足首を覆わず、自由な動きができるのが大きな特徴である。
メリット
構造がシンプルなため、非常に軽量であり、選手はスムーズに動くことができる。足首が自由に動くため、急な方向転換やスプリントに適している。
デメリット
足首を支える構造がないため、足首の捻挫や負傷のリスクが高くなる場合がある。急激な動きや着地時に足首が安定しにくいことがある。
ミドルカット
ミドルカットスパイクは、足首を覆う部分があり、ローカットとハイカットの中間に位置するデザインである。このタイプは、ある程度の足首のサポートを提供しつつ、動きやすさも維持できる。
メリット
足首を少し覆うことで、サポートが得られる一方で、ローカットに近い動きやすさを確保している。ミドルカットは、足首周りに適度なサポートを提供し、安定性が向上する。
デメリット
ローカットスパイクよりも、やや重く感じることがある。足首を覆うデザインのため、通気性がローカットに比べて劣ることがある。
ハイカット
ハイカットスパイクは、足首までしっかりと覆うデザインで、特にサポートと安定性を重視した構造である。足首をしっかりと固定するため、捻挫やその他の怪我を防ぐ効果が期待できる。
メリット
足首をしっかりと支えるため、特に投手や捕手にとって重要なサポートを提供する。捻挫やその他の怪我のリスクを大幅に減少させることができる。
デメリット
ハイカットの構造は通常、ローカットやミドルカットに比べて重くなりがちで、動きに影響を及ぼすことがある。足首の自由な動きを制限するため、俊敏な動きが求められるポジションには不向きである。
ソール
金具スパイク
初期の金具スパイクは、6本歯と呼ばれるつま先側とかかと側に3本ずつ歯を配置するタイプが主流であった。1996年にミズノが9本歯のスパイクを生み出し野球スパイクの革命を起こした。その後、イチロー選手が着用して有名になったビモロのスパイクは13本歯である。
交換式
金具の消耗を考慮した設計として、金具を簡単に取り替えられる交換式スパイクが登場した。この革新により、アッパー部分の消耗が進んでいなければ、金具を交換するだけで新品同様のグリップ力を得ることが可能となった。スパイク全体を買い替える必要がなくなり、金具の交換だけで済むため、コストパフォーマンスが向上した。
埋め込み式
埋め込み式スパイクは、金具がアウトソールに固定されているため、全体的に軽量化が図られ、選手はよりスムーズな動きを実現できるようになった。しかし、埋め込み式金具にはデメリットも存在する。金具が消耗してしまうと、スパイクとしての機能が失われるため、買い替えが必要となる。この課題を克服するため、各メーカーは金属強度の向上に工夫を凝らしている。たとえば、ミズノは超硬合金をスパイクの先端に特殊溶接し、従来の3倍の耐久性を実現している。この超硬合金は宇宙開発機器やトンネル削岩にも使用される素材である。ただし、溶接をすることにより、わずかではあるが重量が増えてしまう。昨今のスパイクのトレンドは軽量感であるため、耐久性アップよりも軽量化を図る場合もある。
革底
革底スパイクは、アウトソールに革を用いた伝統的な仕様で、地面を噛むような強いグリップ力が最大の特徴。踏み込み時に力が逃げにくく、投手の軸足や内野手の一歩目で安定感を発揮する。耐久性が高く、使い込むほど足に馴染む一方、重量があり手入れも必要。現在は高校野球などで使用制限がある場合もあり、革底スパイク自体の種類も年々減ってきている。
樹脂底
樹脂底スパイクは、アウトソールに合成樹脂を採用し、軽量性と扱いやすさに優れる。クッション性が高く、長時間のプレーでも足への負担が少ないため、学生や草野球で主流となっている。金属歯に比べてグリップ力は控えめだが、人工芝や土グラウンドなど幅広い環境に対応。価格帯も比較的手頃で、初心者から中級者まで使いやすいのが特徴である。
ポイントスパイク(ブロックソール)
靴底の歯が樹脂素材でできているスパイク。金具スパイクと比較して軽量であり、歯が金具より柔らかく、鋭利ではないので安全性も備えている。ポイントスパイクは近年、使用者も増加しており、金具スパイクから切り替える選手もいる。
歯
金具スパイクよりも歯の数が多く、靴底の縁にもポイントが設置できるようになっている。横から見ると長方形や台形のような形をしたポイントがメインのポイントとして各社スパイクに設置されている。
重量
ポイントの設置数などによって重くなる。また、俊足を活かしたプレースタイルの選手や足の疲労感の軽減に努める選手はグラウンドタイプに関わらずポイントスパイクを使用することがある。樹脂は元々柔らかい素材であるため、1ポイントに対してある程度の厚さを持たせなければ折れなどの破損リスクにつながる。ポイントの軽量化よりもアウトソール部分の改良により、スパイク全体の軽量化を進めている傾向がある。近年は軽量化よりも、疲労軽減のためのクッション性アップに各社力を入れてきている。
ハイブリッドソール
金具スパイクとポイントスパイクの融合型。金具のグリップ力とブロックソールのクッション性を兼ね備えている。
NEOCONNECT(アシックス)
グリップ力が求められる前足部に金具を配置し、かかと部分には足への負担軽減を目的とした樹脂スタッドソールを採用した構造である。着地時に最初に地面と接触するかかとには4本の樹脂スタッドが配置されており、地面からの突き上げを和らげると同時に、土のグラウンドでも安定したグリップ感を実現。
甲止め
紐式
締め具合を細かく自分で決めることができるため、足に密着したようにスパイクを着用することができる。スライディングなどによって切れるリスクがあることがデメリットである。また、結び目に逆足を引っかけて転倒するリスクも0ではない。
ベルト式
ベルトタイプは着脱が楽で、時間に限りがある場合の準備において素早く着用することができる。面ファスナー(マジックテープ※1・ベルクロ※2)の日々の着脱によって粘着力が弱まってしまうことである。簡単な着用と引き換えに、将来的なフィット感の減少リスクがある。
※1株式会社クラレの登録商標、※2ベルクロ社の登録商標
交互ベルト式
足の甲部分に3本のベルトが並行配置され、それぞれが互い違いになっている仕様。ベルトタイプでありながら、紐に近い細かなフィット調整が可能。通常のベルト式のように外側へのみではなく、内外側の両方から締めることができる。
ベロ
立ちベロ(プロテクトベロ)
足の甲から足首に沿って立っているような形状をしている。これが「立ちベロ」と呼ばれる由来である。現在、市販品で流通しているスパイクのほとんどはこの立ちベロである。2010年ごろまでは大きいベロが多かったが、2020年以降は軽量化を図るために薄く小さいベロが主流となった。そのため、軽快な動きを求める選手にとって利便性が向上した。また、野手が走塁や守備を行う際に適しており、全体的にバランスの良いパフォーマンスを発揮することができる。また、スライディング時に土や砂が足首から入り込むことを防ぐ効果もある。
折りベロ(折り返しベロ)
折りベロは、2010年ごろまでは市販品としてもよく見かけることができたタイプである。スパイクのベロ部分が折り返されているため、シューレースへの負担を軽減することができる。投手は、投球の際に軸足の甲の部分を地面に擦ることが多く、シューレースが切れてしまうことがある。そのため、シューレースに被せるタイプの折りベロを選択することが多かった。捕手も立ちベロのスパイクを使用して、レガースを装着するとベロが邪魔になることがあるため、折りベロを選ぶ選手も存在する。しかし、現在は各メーカーのオーダースパイクでのみ選択できることが多く、一般の市販品で手に入れることは難しくなっている。
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参考文献(出典)
- 間淳.“主流の「樹脂」か、盗塁王が愛した「革底」か 野球用スパイクの特徴と選び方”.Full-Count.2022-02-08.https://full-count.jp/2022/02/08/post1183184/.(参照2025-12-29)
- 株式会社Creative2.“甲子園、黒スパイク“絶滅”か 練習で着用ゼロ…酷暑対策でユニ変更のチームも”.Full-Count.2025-08-04.https://full-count.jp/2025/08/04/post1804240/.(参照2025-12-29)
- 岡野祐己、宇山友明.“「白スパイク解禁」10度低い実験結果も、選手「黒には戻れない」”.産経ニュース.2020-08-13.https://www.sankei.com/article/20200813-73GAAUZPTROULMRVDNTA2OAOKE/.(参照2025-12-29)
- 尾形有菜、新井隆一.“なぜセンバツも?暑さ対策の白スパイクが春から流行 黒履かないワケ”.毎日新聞.2021-03-20.https://mainichi.jp/articles/20210320/k00/00m/050/138000c.(参照2025-12-29)
- ミズノ株式会社.“中学・高校野球もポイントスパイクの時代へ。金具に変わる安全性が高いスパイク『LIGHTREVO TPU・MZ∞』”.ミズノ公式オンライン.https://jpn.mizuno.com/baseball/products/pointspike.(参照2025-12-29)
- ミズノ株式会社.“歴史”.ミズノ公式オンライン.https://corp.mizuno.com/jp/about/history.(参照2025-12-29)
- 間淳.“野球のスパイクは「金具」と「ポイント」どちらがいい? それぞれの長所と短所”.Full-Count.2022-02-07.https://full-count.jp/2022/02/07/post1182691/.(参照2025-12-29)
- 株式会社スワロースポーツ.“野球スパイクの選び方!スワロースポーツ調べ!”.野球用品スワロースポーツ.https://www.4860.jp/info/spike_choice/.(参照2025-12-29)
- 神田 佑.“巨人・菅野 メジャー流スパイク導入へ ポイント9本歯”.スポニチ.2018-12-08.https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2018/12/08/kiji/20181207s00001173598000c.html.(参照2025-12-29)
- 株式会社スワロースポーツ.“スパイクのお手入れ方法”.野球用品スワロースポーツ.https://www.4860.jp/sub/spikes-mainte/.(参照2025-12-29)
- ミズノ株式会社.“身につけることで球速が上がる。SPEEDREVO[スピードレボ]”.ミズノ公式オンライン.https://jpn.mizuno.com/baseball/products/speedrevo.(参照2025-12-29)
- アシックスジャパン株式会社.“アシックス野球ハイブリッドスパイク”.アシックス公式.https://www.asics.com/jp/ja-jp/mk/baseball/hybrid-spike.(参照2026-01-07)
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