目次
- 呼称
-
特徴
柾目(まさめ)
板目(いため)
インクドットテスト -
材質
メイプル(メープル)
ホワイトアッシュ
バーチ
アオダモ
ダケカンバ
竹
ラミ(メイプル×竹) -
形状(トップ)
通常型
トルピード型(魚雷バット) -
形状(グリップエンド)
ストレート型
フレア型
タイカップ型 -
加工
ヘッドくり抜き加工(先端くり抜きバット)
グラスファイバー加工
焼き加工
呼称
木製バット
特徴
素材が木のため木目がある。木目模様が、平行線状に見えているのが「柾目(まさめ)」、放射線状、もしくはキノコ状に見えるのが「板目(いため)」という。
柾目(まさめ)
「柾目」は年輪が平行に並んでいる面を指し、木材の中でも特に強度が高い部分とされている。バットにおいて、この柾目の部分でボールを打つことが正しい打ち方であり、木製バットの性能を最大限に引き出すためには欠かせない知識である。実際に打つ際は、バットの板目にある刻印やマークを目印にし、それを自分に向けることで柾目が投手側に向くように握るのが理想的である。ただ、メイプルの場合は柾目面より板目面の方が遥かに強いという研究結果もアメリカで実証され、素材の特徴に合わせて打球面を選ぶことが求められる。
板目(いため)
「板目」とは、年輪の模様がバットの表面に放射線状に見える部分を指す。板目の部分は、木材の構造的にはやや弱い部分とされている。実際にバットでボールを打つ際、板目部分を打球面にしてしまうと、強度が低いためにバットが折れやすくなる。そのため、板目はバットの表面に刻印やロゴが表示されることが多く、打球面としては適さないとされる。
インクドットテスト
概要
木製バットは折れることも多く、折れたバットは野手方向へ飛んでいくこともあり、リスクがある。そのため、バットの強度を確認する重要なテストが、インクドットテストである。特にメイプルなどの散孔材で作られたバットに対して実施され、板目面にインクを一滴しみ込ませることで木目(年輪)を目視できるようにする。木目がまっすぐであるほど、バットはインパクト時の衝撃に強く、破損しにくいとされる。
変遷
2009年以降、MLBでは全てのプロプレーヤー用バットにインクドットテストを義務付けている。メイプルバットにおいては、このテストを通過したバットのみが公式戦で使用されている。過去にはバットの破損や飛散が問題となっていたが、インクドットテストの導入により、安全性が大幅に向上した。日本のプロ野球(NPB)ではインクドットテストの実施は認められていないが、アマチュア野球(BFJ)では2023年のルール改正により、インクドットの有無にかかわらずバットの使用が可能となった。インクドットテストを通過したバットは、MLBプレーヤーと同等の品質を持ち、強度と信頼性が証明されている。
材質
木製バットに使用される木材は、いくつかの種類があり、それぞれが異なる特性を持っている。プレイヤーは自身の打撃スタイルや求める打感、耐久性に応じて適した木材を選ぶことが重要である。主にメイプル、ホワイトアッシュ、バーチが一般的である。
メイプル(メープル)
メリット
他の木材と比較して非常に密度が高く、硬度が優れていることが人気の理由。この密度の高さは、打球時の強い反発力を生み出し、打球が遠くまで飛びやすくなる。硬質な表面も特徴で、スイング時にボールとの接触面が滑らかであることから、エネルギーの伝達が効率的に行われる。また、バットがスイング時にねじれることが少ないため、ボールが芯に当たった際のパワーがロスすることなく、ボールにしっかりと伝わり、打撃精度が向上する。表面が非常に滑らかで、バットが長期間にわたって良好な打感を保つことができる点も、メイプルがプロ選手に選ばれる大きな理由の一つである。
ホワイトアッシュ
メイプルと並んで多くのプロ選手に使用されている木材。
特性
軽量さとしなやかな性質が特徴的である。アッシュはメイプルに比べて柔軟性が高いため、ボールがバットに当たった瞬間、しなりが発生し、そのしなりがボールを「押し出す」ような感覚を生み出す。また、バットがボールに対してわずかな曲がりを生じさせることで、打撃時の手ごたえがソフトになり、打者の負担を軽減する効果もある。そのため、コントロールを重視し、スイングスピードを最大限に活かしたい選手に愛用されている木材である。
バーチ
メイプルとアッシュの中間的な特性を持つ木材。大谷翔平選手がバーチ製のバットを使用していることで、さらに近年人気が高まっている。
メリット
メイプルほど硬くはないが、アッシュほど柔らかくもないという絶妙なバランスを持っており、打撃時の感覚と耐久性を両立させている。また、バーチは木材自体が均質で、メイプルのような密度の差が少ないため、バットが折れにくい。しかし、高い耐久性ゆえに、メイプルやアッシュに比べて若干重く感じる場合がある。スイングスピードを重視する選手にとっては、この重量感がデメリットになることもあるが、それでもその耐久性としなりの良さから、バーチは多くの選手にとって魅力的な選択肢となっている。
アオダモ
アオダモは、日本国内で最も高品質な木製バットに使用される木材の一つであり、その優れた特性から長年にわたりプロ野球選手に愛用されている。
メリット
アオダモの最大の特徴は、適度なしなりを持ちながらも硬さがあり、打球時の反発力が非常に強いことである。この反発力により、打球が遠くまで飛びやすく、特にパワーヒッターにとって理想的な素材となっている。また、アオダモの木目は非常に繊細で均質であるため、木材が割れにくく、長期間にわたって使用できる耐久性があることも大きな利点だ。しなやかさと剛性のバランスに優れているため、技術的に優れた打者やコントロール重視の打者にも広く支持されている。
デメリット
アオダモは希少であり、現在では資源枯渇の危機に直面している。アオダモの成長は非常に遅いため、一度伐採されると再生に長い時間がかかり、そのため持続可能な資源管理が重要視されている。これに対処するため、近年ではアオダモの持続的な利用を目指した植林活動が行われており、日本プロ野球界でも積極的に植樹セレモニーやキャンペーンが展開されている。このような取り組みによって、アオダモ資源の枯渇を防ぎ、未来の選手たちに高品質なバットを提供し続けることが期待されている。
ダケカンバ
ダケカンバは、北海道に生息するカンバの一種であり、バット材としての可能性が注目されている木材の一つである。元々はチップ材として利用されることが多かったが、その硬さに着目し、バット材として活用されるようになった。
メリット
密度はホワイトアッシュとほぼ同等でありながら、しなりの面ではアオダモに近い。強度としなりを両立しており、京都大学野球部による使用実験では、14本のダケカンバ製バットが1週間の使用で1本も折れなかったという結果が得られている。また、NPBでも試験的に選手にダケカンバ製バットが提供され、実際に公式戦で使用して安打を記録している。アオダモが枯渇している中、ダケカンバは50年程度で再生が可能な「陽樹」であり、持続可能な資源としての価値が高い。また、伐採後もブルドーザーを使った整林技術が確立されており、効率的に木材を供給することができる点も優れている。
デメリット
バット材以外の用途での有効活用や、バット製材会社の不足といった課題も残されている。今後、ダケカンバはアオダモに代わる国産バット材としての可能性を秘めている。
竹
竹板を貼り合わせた角材をバットの形状に削って作られる。ミートポイントや重心がヘッド(先端)寄りになっているため、ヘッドが重い。また、竹バットは芯の範囲が狭く、ミートしづらいため、試合用ではデメリットとなる場合がある。そのため、芯でバットを捉える練習など、トレーニングバットで使用されることが多い。
ラミ(メイプル×竹)
ラミバットの語源は「ラミネート(貼り合わせる)」からきている。複数の木材を貼り合わせて作られるバットである。一般的に、バットの中心部(芯)には竹材、打球部がメイプル材によって作られる。貼り合わせのバットのため、一本木バットよりもコストを抑えることができる。耐久性は竹バットと同等であり、打感は竹以外の木製バットに近いため、折れやすい木製バットの導入や練習としても選ばれる。
形状(トップ)
通常型
打撃部が太く、持ち手部分に向けて細くなっている形が、野球用バットの形状である。
トルピード型(魚雷バット)
バットの先端と中間部分が従来よりも細くなっており、打球部が太く設計された形状。打球部が魚雷のような形になっているため、トルピード型(魚雷型)形状と言われる。太い打撃部と重心が手元寄りに近づくことにより、操作性を高める。
形状(グリップエンド)
ストレート型
グリップ部分がまっすぐなタイプ。ストレート型はバランスが非常に良いため、パワーヒッターからコンタクトヒッターまで、幅広い打撃スタイルの選手に適している。バットの重量がバランスよく分散されており、操作性が高いことが特徴で、初心者からプロ選手まで広く愛用されている。
フレア型
グリップ部分が手元に向かって広がっている形状を持ち、しっかりとした握りが可能なため、打撃時に手が滑りにくい。フレア型バットは、特にスイングの安定性を求める選手に好まれる。グリップの広がりによって、バットを強く握り込むことができ、安定したスイングがしやすい。
タイカップ型
円錐状でフレア型よりもグリップエンドの大きいバットをタイカップ型と呼ぶ。この形状のバットをMLBの伝説的な選手タイ・カッブが使っていたことから、「タイカッブ型」とも呼ばれている。
加工
ヘッドくり抜き加工(先端くり抜きバット)
バットの先端部分をくり抜き、バットの軽量化が可能。また、全体のバランスをグリップ側への調整できるため、スイングスピードが向上するだけでなく、バットの重心を手元に寄せることでで、操作性が向上する。スイングの速さを求める選手や、バランスを重視する選手に好まれる。
グラスファイバー加工
バットの耐久性を高め、長く使用できるようにする補強加工。グラスファイバー加工を施すことで、バットの耐久性が飛躍的に向上する。グラスファイバーの特性として非常に高い強度・耐熱性・不燃性・電気絶縁性が挙げられる。バットの表面にグラスファイバーを巻きつけることで、バットが破損したり折れたりするリスクを大幅に軽減できる。グラスファイバー加工を施した部分は、グラスが白く浮き出ることがあるが、グラスファイバー加工をしている証拠でもあり、品質に問題はない。
焼き加工
焼き加工(フレイム仕上げ)で、焼き目をつけることで木目が浮かび上がる。バットの性能や打感には影響はなく、見た目の好みで焼き加工の有無を選択している選手もいる。
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参考文献(出典)
- 株式会社日刊スポーツホールディングス.“【球宴】試合前にアオダモ植樹セレモニー ソフトバンク牧原大成とヤクルト村上宗隆が苗に土かけ”.日刊スポーツ.2022-07-26.https://www.nikkansports.com/baseball/news/202207260000847.html.(参照2025-11-07)
- 有限会社ボールパークドットコム.“失敗しない木製バットの選び方。素材や種類も徹底解説。”.ボールパークドットコム.2022-07-27.https://japan-ballpark.com/blogs/web-magazine/mokuseibat-0501?srsltid=AfmBOoqdmKdNncQsmK-VO3tunYIAy27C_wTELIYkRFkkuHZOZoheRhC5.(参照2025-11-07)
- 小暮昌弘.“714本のホームランを放った、ルイスビルスラッガーのバット【ベーブ・ルース編】”.Pen Online.2020-11-19.https://www.pen-online.jp/article/003311.html.(参照2025-11-07)
- マルチ&ヴィクタススポーツジャパン合同会社.“MLB選手使用率シェアNo.1のアメリカ野球ブランドが日本のYouTuber草野球チームとスポンサー契約を締結!さらに関西に新リーグ『マルチ&ヴィクタスリーグ』を発足”.PR TIMES.2022-03-01.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000095728.html.(参照2025-11-07)
- 株式会社ヤナセインターナショナル.“ヤナセ製材方法”.YANASE BAT COMPANY.https://yanasebat.com/seizai/.(参照2025-11-07)
- 菊地慶剛.“北海道のダケカンバを新たな国産バット素材へ!2017年から研究開発を続ける男達が思い描く夢”.Yahoo!ニュース.https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/ff02321583f645f748f50209358df16ec9cfa872.(参照2025-11-07)
- 株式会社池北工房.“木製バット”.池北工房.https://ikekita.jp/wood-bat/.(参照2025-11-07)
- 有限会社ボールパークドットコム.“木製バットの事をもっと詳しく知ろう!~野球人なら知っておきたい木製バットのこと~②”.ボールパークドットコム.2020-04-06.https://japan-ballpark.com/blogs/web-magazine/bamboo-bat-1205?srsltid=AfmBOoo7KyCP5wYiFdAnS4b4aNmSL7DMjFPGAX0EYbEpxoN3sNgO9R9J.(参照2025-11-07)
- 株式会社ヤナセインターナショナル.“インクドットテストとは”.YANASE BAT COMPANY.https://yanasebat.com/inkdottest/.(参照2025-11-07)
- 株式会社OHBジャパン.“MLB仕様とインクドットテスト”.オールドヒッコリーバットジャパン通販サイト.https://www.oldhickorybat.jpn.com/?mode=f1.(参照2025-11-07)
- 有限会社ボールパークドットコム.“竹バットについて徹底解説します!”.ボールパークドットコム.2024-01.https://japan-ballpark.com/pages/bamboo.(参照2025-11-12)
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